KUOTA KRYON のフレームにできたチェーン落ちの傷の修復を試みる・完結編
チェーン落ちによるガリ傷の修復を自力で試みようと愛車KUOTA KRYONのフレーム修復作業に勤しんで前回の紹介から早くも半年超、一応この夏頃にフレームの傷を埋める作業から塗装までひと段落できたので、少しばかり遅れてしまったが修復作業内容を紹介していこうかと。
作業再開の第一歩は再度のフレーム傷のパテ埋めから
前回の作業ではフレームにできた深いガリ傷をパテ埋めしてプロテクションシートによる応急保護をするところまで進んだが、今回はその続きというか再作業から。というのも、
プロテクションシートを剥がしたらパテも剥がれたので。
普通一度硬化したパテはこの程度で剥がれないはずなので、原因はやはりパテの主剤と硬化剤を混ぜ合わせる際に配合比率を間違えた可能性が……
悔やんでも仕方がないので、再び剥がれた部分のパテ埋めから。幸いにも前回使用したパテ類はまだ残っているので。
ちなみに使用しているパテはこちら。
ファイバー入りでFRPやABS樹脂リュのハガレ・ひび割れに強いとのことでチョイス。元々は自動車用の補修パテだが、カーボンフレームの自転車にも十分流用可能。
パテが十分に硬化した後、サンドペーパーを粗目(#300)から超極細目(#1000)の順にかけてパテとフレーム塗装面の段差がなくなるように均していく。
……どれだけかけても段差がなくならない上、余計にダメージが広がった気がしないでもない……
半年の期間を経て、いよいよ塗装作業開始
なぜ塗装までに半年の期間を置いたかというと、気温が低い冬季では塗料が乾燥して内部の溶剤が完全に揮発するまでに時間が掛かる、あるいは完全に揮発しきれないなどの問題があると聞いたので、気温が固くなる春~夏季まで待った次第。
決して怠惰をかました挙げ句塗装を忘れていたわけではない(笑)
初っぱなから注意事項。塗装作業を室内でやってはいけない。
もちろん塗装などの作業専用ルームをご用意できるブルジョワや職業職人なら何ら問題はないが、素人が職人面して室内で塗装作業をすると基本的に後悔します。絶対。
塗装作業の概要は、
- 下地塗料(プラサフ)で下地作り
- 塗料で塗装(数回)
- 乾燥
- コンパウンドで仕上げ
となり言葉にすると簡単そうだが、実際には塗装作業は慣れないとなかなか上手くいかず、塗装してから乾燥までの期間が夏季でも数日~一週間ほど必要なため、手間も時間もかなりかかる。
しかも屋外で作業するとなると必然的に晴天の日でないと作業できないため、天候にも左右される……今回無謀にも室内での作業を決行したのもそれが理由の一つだが、
見よ、このプラサフの飛び散り方。
上手くピンポイントで作業してもこの有様。ちなみにプラサフはピンポイントでかけてはダメで、何度も左右にシューっと流れるように吹き付けていくことでうまく下地作りができる。よってどうしても広く汚れてもよい場所での作業が必須となるわけだが、事前にそこまで調べておいてこのていたらく。
人とは学習しない生き物である。
今回使用したのはサーフェイサーの一種である「プラサフ」。プラモなどの塗装経験者にはお馴染みの、定着剤(プライマー)入りのサーフェイサーで、より塗料の定着性を向上させたもの。
カーボンフレームの自転車に果たしてどれだけの効果があるかは不明だが、まあ少しでも良さげなのを使っておけばいいだろうという安直な考えでチョイス。
ちなみにプラサフや塗料などの塗布前には、塗布する下地の油分を取る脱脂作業を行う。
塗装を傷めないタイプのディグリーザーを持っているのでそれで代用可能だったが、今回は上記を一緒に購入して使用。
プラサフ塗布1回目。一見上手くいったかのように見えるが、
まだまだ粗があるため、まだ重ね塗りが必要。しかしながらこの時点で室内への被害が結構大きかたっためこれ以上の室内作業は断念して、翌日ガレージが空く予定なのでそこで作業を再開することに。
BB部分の塗りにくい部分への塗装もどうするか考えておかねば……
ちなみに今回の作業にあたり、チェーンステーに購入時から貼り付けられていた保護シールは貼り直しのため剥がしておく。汚れもひどかったので……
で、翌日。今日は丸1日ガレージ作業可能なので、悠々と作業できる……っ!
まずは室内と同様にマスキングテープ&シートで自転車をフルガード。塗装作業は想像以上に飛び散るのが分かったため、広範囲に念入りにマスキング。
一応重ね塗りしたプラサフだが、あんまり変わらない……初心者ゆえの未熟さが明瞭に現れてる感じ。
嘆いていても腕が上がるわけではないので、このまま塗装作業に突入。
塗装もプラサフ同様、左右に流れるようにシューッと吹き付けていく感じ。塗料ダレを防ぐためにも決して一カ所に集中して塗料を吹き付けないようにしていく。
塗料重ね塗り2回目。ちなみに塗料は色はブラックをいうのは分かるが、ブラックといっても様々な種類があり、しかもそれぞれにつや消しだのパールだのとえらく種類豊富で気が狂いそうになったので、今回はシンプルイズベストに
つや消しブラックと、
クリアーの重ね塗りで対応してみることに。カラーが単色ブラックなら、失敗してもそうそう酷いことにはならないはず……と思いたい。
重ね塗り3回目。少なくともプラサフ処理部分や傷は完全に覆い隠せた。
……と思いきや、やはり下地処理がまだ甘かったのか、フレーム本来の塗装面とパテの段差部分の剥がれや細かいでこぼこがまだ目立つ。
しかしここから再処理は非常に手間が掛かるし、幸いにもこの部分はクランクを付ければさして目立たない部分でもあるので、このまま作業続行することに決定。
つや消しブラックで塗装後しばらく乾燥期間(1時間程度)を置き、その後クリアーで重ね塗り。何かビシャビシャになった……
1回目のクリアー塗装後、30分ほど乾燥期間を置いて2回目のクリアー塗装。
さらに30分程度乾燥させてから、最後となる3回目の塗装。まだ本来の塗装面と新たな塗装面の境界が目立つが、色合い自体はだいぶ違和感が無くなってきた。
塗装面のザラつきや本来の塗装面との境界についてはこれら行うコンパウンド仕上げで処理していく。
塗装の仕上げは細目・中目・極細目のコンパウンドで磨き上げる
いよいよフレーム修復作業も最終局面に。塗装が十分に乾いたら、いよいよコンパウンドによる磨き上げ作業に。
コンパウンドは個別に用意しても良いが、面倒だったので上記のセット品を購入。
説明書通りに細目→中目→極細目の順にキュッキュと磨き込んでいく。するとなかなか良い艶に……
残念ながら塗装面の段差は取れずじまいだが、チェーン落ちによるフレーム傷防止の観点からは塗装面(チェーンが当たった部位)は厚めの方が都合が良い。
作業しにくいBB部分もしっかり磨く。
チェーンステー部。ここはチェーン傷ではなく、サンドペーパーがけの際に傷ついたのでその修復作業……
コンパウンドで何度が磨き込み、最終的にはこんな感じに。初めてにしてはそこそこの出来映え。
チェーンステーの方もなかなか。というかこっちの方が段差もなくかなりうまくできた……
最後はガラスコーティング&保護シート類で悲劇の再来を徹底予防
フレーム塗装のコンパウンドがけが終わったら、最後は保護シート類でフレームを完全防御して、再度チェーン落ちが発生してもフレームにダメージが及ばないように仕上げておく。
保護シートを貼り付けていく前に、まずはお馴染みエーゼットのガラスコーティング剤「アクアシャインコート」でしっかりコーティング。クランクってあんまり外さないからね……
コーティング後は保護シート類でチェーンが当たりそうなクランク周辺をガチガチにガード。
3Mの表面保護テープ#331はロード用保護テープとして有名だが、デイトナのハイプロテクションシールもバイクのカウルなどの保護用として有名。
ハイプロテクションシールは表面保護テープよりも厚みがあるため防御力は十分だが面積単価が高いため、表面保護テープと併用してできる限り多くのフレーム面積をカバーできるようにしていく。
チェーン脱落時、高速回転するチェーンが触れて直接的に大ダメージが及びそうな場所にはハイプロテクションシールを立体裁断して貼り付け、さらにその上から表面保護テープを重ね巻きすることで剥がれにくくする。
見た目は相当ゴワゴワして見栄えの観点からは最悪だが、前述の通りここはクランクで目立たないので実利優先として作業を進めていく。
チェーンステーにも新たにシールを貼り直す。ここもチェーンが脱落すると直接触れてしまうウィークポイントなので、ハイプロテクションシールを貼り付ける。
完成体がこちら。できる限りフレームの曲面に沿うように貼り付けて気泡も抜いたが、お世辞にも綺麗とは言い難いが、
クランクさえ装着すればほぼ目立たなくなるので無問題。これ以上のチェーン落ちによる被害を防ぐことが第一なので、多少不細工でも防御力最優先で考えればOK。
左側からだとやはり保護シートが多少目立つが、まぁ走行中にこの部位を凝視する人間はそうそうおるまいて……いても相当動体視力良くないと見えないはず(笑)
これにてチェーン落ちでガリ傷が付いたカーボンフレームの修復作業は無事完了。もう二度とこんな悲劇が起きないことを願う……塗装作業は非常に面倒というのが良く分かったので(笑)
おまけ:気になる細かな傷もついでにコンパウンドで消してみる
フレームにいくつかあった細かな汚れや傷も、ついでにコンパウンド磨きで消してみた。
まずはシートステー。これは確か以前にフレームを倒した際に付いた傷。さすがにここは傷が深くてコンパウンドだけでは消えなかったので、ホワイトのタッチペンでちょちょいと再塗装。
塗装→クリアー→コンパウンドで修復。遠目には目立たないレベルに。
ヘッド部分のちょい傷はコンパウンドのみで、
ご覧の通り完全に消滅。むしろ輝きが増した……
先ほどとは逆のシートステーの傷。こちらは傷というか汚れみたいなものなので、コンパウンドで処理。
見事に消滅。
最後はシートポストに出来ていた、サドルバッグによる細かな擦り傷の修復。
ここはコンパウンドで傷を消した後、ハイプロテクションシールを貼り付けて傷予防しておく。KUOTA KRYONに付けているサドルバッグは大型で重量もあり、結構ガシガシシートポスト擦るからね……
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