飽和する趣味に溺れる、とある奈良県民の徒然趣味日記。

TREK 7.5FX が装備している Deore LX のプーリー交換で学んだこと

2019年2月18日

 TREK 7.5FX の通勤仕様へのバージョンアップの一環として、購入以来一度も交換していなかったプーリーもチェーン交換に合わせて交換した。
 しかしながら対象となる Deore LX は今や既に廃番となっているグレード。しかも TREK 7.5FX 自体が 2010 年形式という年代物なので、そんな古いグレードの Deore LX に果たして現行のどのプーリーが適合するのか、まずはそこから調べる必要があった。

 結論から言うと、あるグレードからはロード用のプーリーと MTB 用のプーリーは同一のものが使用されるようになったため、ロード用のプーリーで代用可能とのこと。
 つまり現行のロード用 11 速対応のプーリーなら、9 ~ 11 速の MTB 用リアディレイラーに問題なく取り付けて使用できるということになる。

 ……が、現行のロード用 11 速対応プーリーと言っても、その種類は多岐に亘る。105 以下のグレードに対応するブッシュベアリング式のものや、アルテグラ以上のグレードに採用されるボールベアリング式のプーリーもある。
 その上でコンポ世代による違いもあるようで、例えばデュラエースならひとつ前の世代の RD-9000 系と現世代の RD-9100 では同じ 11 速対応でも、ガイドプーリーの歯の形状が明確に異なり互換性はない。

 このようにプーリーは単純な部品ながら規格・種類が乱立状態で訳が分からないため、ここはプロ及びメーカーの采配を仰ぐのが最も確実……ということでキタサイクルで適合するプーリーを調べてもらい、それを購入してきた。

 ただ今後のことを考えて、ここで少しプーリーの互換性についてまとめてみようかと。

今回購入したプーリーは 105 前々世代の RD-5700 以前対応の「Y5XH98120」

 キタサイクルで調べてもらい購入したプーリーの型番は「Y5XH98120」。裏面の適合コンポ一覧を見ると、最初に目に入るのが「RD-5701 / RD-5700」。つまり前々世代の 105 用及びそれ以前の世代対応のプーリー。

 型番を見る限りロード用ディレイラーだけでなく MTB 用ディレイラーにも対応しているのは間違いないし、前々世代の 105 用と言えど使用するのはそれよりも遙かに古い世代の Deore LX なので特に問題無し。またシマノに直接問い合わせて実際に 9 速の Deore LX に適合するかどうかも確認済み。

 また KUOTA KRYON に搭載している前世代 105(5800 系)用のプーリー(型番 Y5XE98030)も適合しているが、現行の 105(R7000 系)はガイドプーリーの歯先形状が異なるので未対応。
 同様に最高峰たるデュラエースグレードのプーリーの場合も、前世代(R9000 系)までなら適合するみたいだが、現行の R9100 系ではガイドプーリーの歯先形状の違いから対応不可。

 どうにもややこしいが、どうもプーリーはどのグレードも現行のものからガイドプーリーの歯先の形状を変えたため、それ以前のものとは同グレードであっても互換性はなくなっていると考えて良いようだ。
 ……まぁ適合するというのはあくまでも非公式で、シマノの公式回答は「明確にパッケージに適合明記がない限り、同世代であってもグレード間の適合はしない」というのは有名な話。

各世代・各グレードのプーリー互換性を一覧表にまとめてみた

 取りあえず各グレードの現行及び前世代までのリアディレイラーと適合プーリーを、一覧表にして可視化してみた。疲れた……

コンポ名 シリーズ RD モデル型番 スピード プーリー型番
DURA-ACE R9100 系(現行) RD-R9100-SS 11 速 Y5ZR98010
R9150 系(現行 / Di2) RD-R9150
R9000 系(前世代) RD-9800-SS Y5XX98090
R9070 系(前世代 / Di2) RD-9070
ULTEGRA R8000 系(現行) RD-R8000-SS 11 速 Y3E998010
RD-R8000-GS
R8050 系(現行 / Di2) RD-R8050-SS
RD-R8050-GS
RX800 系(現行) RD-RX800-GS
RD-RX805-GS
R6800 系(前世代) RD-6800-SS Y5YC98140
RD-6800-GS
R6870 系(前世代 / Di2) RD-6870-SS
RD-6870-GS
105 R7000 系(現行) RD-R7000-SS 11 速 Y3F398010
RD-R7000-GS
R5800 系(前世代) RD-5800-SS Y5XE98030
RD-5800-GS Y5XE98090
R5700 系(前々世代) RD-5700-SS 10 速 Y5XH98120
RD-5700-GS
Tiagra 4700 系(現行) RD-4700-SS 10 速 Y5RF98070
RD-4700-GS
SORA R3000 系(現行) RD-R3000-SS 9 速 Y5FT98030
RD-R3000-GS
Claris R2000 系(現行) RD-R2000-SS 8 速 Y5TT98020
RD-R2000-GS

 一覧表にしても解り辛いのはどうにかならんものか……

 あくまでも個人的推察によりかいつまんで説明すると、まず大前提として2019 年 2 月時点での、

 現行グレードとそれ以前のグレードとのプーリーの互換性はない。

 理由はガイドプーリーの歯先の形状が前グレードよりも長くなったこと、プーリーの直径や厚みが増したことなどが挙げられる。つまり変速性能が下がる云々ではなく 物理的に装着できなくなった。

 例として デュラエース R9100 用プーリーを見てみると、

 前世代(R9000 系)と比較して、明らかにガイドプーリーの形状が異なる。これだけでも互換性がヤバいことは何となく分かるが、その上直径や厚みも違うとなればもう互換性がないことは確定的。

 だが R9100 系と同世代の別グレード(R8000 系や R7000 系)ならばガイドプーリーの歯先は全て同じっぽいので、同世代別グレード間の互換性はある……と思われるが、もちろんシマノは公式に「互換性無し」と否定。検証もしてないので、真実は闇の中。

 しかし前世代のグレード達(R9000、R6800、R5800 etc…)については、同世代のプーリー間に互換性があることはやはりシマノは否定するも、数多の偉大な先達や勇気ある人柱達によって問題なく使用できることが立証されている。
 これは上記一覧表で挙げたロード用コンポだけでなく、Deore などの MTB 用リアディレイラーについても同様に互換性があり、問題なく使用できる。
 今回購入した前々世代 105(R5700 系)用プーリー「Y5XH98120」の裏には明確に対応型番の明記があり、次世代である R5800 用プーリーが R5700 用プーリーと互換があるということは、まぁそういうことである。

 ……が、唯一注意したいのが前世代 105(R5800 系)。リアディレイラーにはスプロケットの歯数に合わせて SS と GS が存在するが、基本的にどのグレードも SS と GS のプーリーは共通となっている。

 ただ唯一、R5800 系 105 の GS 以外は。

 R5800 系 GS 用プーリーの型番は「Y5XE98090」だが、何故かこれだけガイドプーリーの歯先の形状が R9100 系など現行グレードのプーリーのように長い歯先になっている。
 よって数は少ないだろうが、R5800 系の GS ディレイラーを使用している人のみプーリー別グレードのものと交換する場合は互換性に要注意ということで……

Deore LX の旧プーリーと購入した新プーリー比較

 所有している Deore LX が一体いつのどの世代になるのか不明だが、取りあえず今回購入してきたプーリーとどの程度差違があるのがちょっと比較してみようかと。

まずは Deore LX の旧プーリーを分解・確認

 Deore LX から取り外したプーリー。左側がガイドプーリーで、右側がテンションプーリー。

 ガイドプーリーを分解。中央のブッシュベアリング部分に金属の筒が入っているのがテンションプーリーとの違い。
 かなり古いモデルのプーリーであることは間違いないが、シマノの特許であるセンタロン機構はしっかり搭載されている。

 そう言えば現行グレードのガイドプーリーって、センタロン機構が搭載されてないって聞いたけどマジですか……またテンションプーリーのように回転方向の指示があるとも。
 その昔 Di2 用として別途用意されていたプーリーにはセンタロン機構はなかったらしいが、進化の果てに機械式であってもセンタロン機構を必要とせず完璧な変速の実現が可能になったのか、それとも他に理由があるのか……謎だ……

 歯先は随分削れてしまっているが、形状は長方形。これだけ長年ノーメンテで酷使してもまだこの程度で済んでいるのはある意味凄い。

 テンションプーリーを分解。ガイドプーリーと基本構造はほぼ同一だが、中央のブッシュベアリング部分が直接樹脂(プーリー本体)と接触するようになっているのが大きな違い。あとプーリー表面に「SHIMANO」のロゴと「NARROW(狭い)」の文字。

 こちらも随分削れているが、歯先は菱形というか平行四辺形っぽい?現行のロード用テンションプーリーは明確な五角形なので、ここら辺に進化の形跡が見られる……

新プーリー「Y5XH98120」と比較

 今回購入した新プーリー「Y5XH98120」。現行の 105 の前々世代にあたる R5700 系用の 10 速用プーリーだが、9 速と互換性があるため MTB 用ディレイラーに使用可能(裏面にも対応型番の明記あり)。

 新旧ガイドプーリー比較。左が新、右が旧。見た目は形状も表面に記載されている文字もほぼ同一。当然双方ともセンタロン機構搭載。

 歯先も同一の長方形。よって回転方向の指示もなし。

 新旧テンションプーリー比較。こいつには新旧で明確な差がある。すなわち表面に回転方向を指示する矢印があるか否か。

 歯先も新テンションプーリー(というかここ最近の世代のテンションプーリー全て)は五角形の矢印のような形状(テーパー形状)になっているのに対し、旧プーリーは削れて微妙に判別が難しいが、少なくとも五角形ではなかった模様。

 ほぼ同一というかどちらも新品だと多分見分けが付かないぐらいに差違が見つけられないガイドプーリーはともかく、テンションプーリーの方はこれだけ明確な差があるので、変速性能にどれだけ影響が出てくるのかは未知数。

 まぁ進化を重ねたグレードアップ Ver だし、シマノが公式に「使えるよ」とリアルタイムで返信してくれたのだかtら問題は無いでしょうそうでしょう(笑)

新プーリーを Deore LX に組み込む

 それではいよいよ新プーリーを年代物の Deore LX に組み込んでいく。

 とは言っても今回はチェーンを先に外しているので、作業としては全く難しくない。チェーンかけたままだと難易度というか必要労力跳ね上がるけど……

 アルテグラ以上のグレードに採用されるボールベアリング式とは異なり、ブッシュベアリング式プーリーはベアリング軸内部までグリスを塗布する必要がある。
 ……というよりこの作業には様々な意見があり、「グリスたっぷりぶち込むよ」派から「グリス適量でいいよ」派、「グリスは駄目よオイルだよ常考」派、そして「グリスもオイルも不要ッ!惰弱がッッ!」派と様々な派閥が日夜報われぬ攻防を繰り広げていると耳にしたが、私は我関せずで何も考えずたっぷりグリスぶち込む派(笑)

 今回は昨年のサイクルモード RIDE OSAKA 2018 で購入したまま色々あって(主に転職活動ね……)使わず仕舞いだったエーゼットの「チッコイグリースガン」。本体の加工精度からして数百円で手には入っていいものではなさげな上に、自転車用グリスとしてウレアグリス 20g が付属してくるという、訳の分からないほどお得極まりない製品。ネット上での評判も抜群に高い。

 ウレアグリスは非石けん系ウレア基のグリスで、一般的には石けん系カルシウム基に属するデュラグリス(現プレミアムグリス)よりも耐熱性・耐水性に優れているとのこと。

 要はデュラグリスより高性能。

 20g とはいえデュラより高性能なグリスが付いてきて数百円とかマジで訳分からん……

 ただ、性能はあくまでも一般的な指標によるもので、何事にも適材適所というものがあるため、一概にウレアグリスがデュラグリス(カルシウム基グリス)より高性能とは言えないのもまた事実。
 例えばデュラグリスは耐水性ではウレアグリスに劣るとされるが、それは「水分を入れない」性能が劣っているだけで、「水分を取り込んで排出する」ことに掛けてはウレアよりも優れているとのこと。

 これはシマノホイールのカップアンドコーン構造に見られる「水分を拒まず、しかしさっさと排出する」という構造に対してはまさに最適解とされるグリス。
 何せ水が入っても分離による油膜切れを起こさないので(限度はあるが)、悪天候などの環境下であっても安心して走行できるし、またメンテナンススパンも長く取れるというメリットがある。

 ただまぁここら辺もそのグリスがどのような意図・用途で製造されているかにもよるので、一般的な指標だけで甲乙は付けられないかと。

 しかしながら今回においては、そんな小難しいお話はどうでもよろしい。

 取りあえず回りゃあいいんだ、回りゃあwww 何せこんなオープンな箇所水なんかドバドバ入るだろうし、入ってもあっという間に抜けるだろう。グリスが切れてもメンテもすぐにできる。
 今回はあくまでも「エーゼットのチッコイグリースガンで付属のウレアグリス使いたかっただけ」なんで、もしグリスのチョイスがミスってたらまたすぐにデュラグリスでもぶち込み直せば無問題www

 グリス注入箇所は中央部に被せる金具内部全般はもちろん、特に中央のベアリング部にはしっかりと。チッコイグリースガンは想像以上に微妙な量のグリス調節が可能なので、細かい部位へのグリスアップには本当に便利。

 グリス注入及びディレイラーへの取り付け完了。取り付けようボルトには一応デュラグリスを塗布。本当はネジ緩み剤塗布が正解かもしれないが、まぁ KUOTA KRYON の方も特に問題ないし別にいいか……

走行性能は上々で不満なし。課題は今後の交換の際、適合プーリーが入手できるか

 TREK 7.5FX を通勤仕様として仕上げてから何度か試走したが、取りあえずは無事走行できた。というより走行も返送性能も一切の不満無く、チェーンの回転も明確に軽くなったように感じられた。

 でもそれは当然。数千 km に及びノーメンテンだったチェーンを丸ごと交換すれば絶対に回転は良くなります。

 ただ、変速性能が良好な点については、ディレイラー清掃の効果もあるだろうが、やはりプーリーを新しくした影響も少なからずあるのかと。とにかく走っていて気持ちよく感じるのは良い傾向。

 今回はこうして古い Deore LX 用のプーリーを無事入手できたが、今後さらに数年ほど乗り回していざ交換となった際、果たしてその時適合プーリーが入手できるかどうかは少しばかり怪しいところ。
 補修部材がすぐに市場から消えることは無いだろうが、やはりそれも限度(保管期限)というものがあるし、やはり今後のことを考えるとコンポの交換か、あるいは新フレームの導入も考えた方がいいのかもしれない。

 その方が物欲も満たされるしね!

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