TREK 7.5FX のブレーキケーブル交換に挑戦
前回(と言っても日時的には同じ日だけど)TREK 7.5FX 購入時標準装備の Avid SD3 から新たに購入したShimano の DeoreXT BR-T780 へのVブレーキ換装作業を紹介したが、今回はその続き。
今回はいよいよ新たに取り付けたVブレーキに新品のブレーキケーブルを通し、ブレーキの換装作業を完成させていこうかと。
ちなみにブレーキケーブル交換作業に当たって、事前にネットなどで調べた情報の他に、
久々にメンテナンス本を一冊本棚から取り出し、念のため読みながら作業することに。これ買ったの自転車買ったのとほぼ同時なので、読むのは4~5年ぶりぐらいになるか……
この本は私の TREK 7.5FX 同様 TREK のクロスバイクを実機モデルとしてメンテ紹介しているので、実に分かりやすく参考になる一冊。
この本に限らず、取りあえず自転車のメンテ本はどれか一冊持っていると非常に便利なのでお薦め。
まずは旧ブレーキケーブルの取り外し&新しいアウターケーブルの準備
それでは早速作業開始。まずは錆び付いた古いブレーキケーブルをフロント側から取り外す作業から。
よくよく考えると、ブレーキケーブルも TREK 7.5FX 購入時から一度も取り替えてなかったので、今回は初めての交換となる。
あちこち錆び付いたまま、よくこれまで千切れずに保ってくれたなぁ……
まずはブレーキレバーの方からケーブルを外していく。外し方はメンテ本通り、ブレーキレバー本体とアジャスターナットとロックナットの溝を合わせ、ケーブルをその溝から抜くように外していく。
ちなみにVブレーキ側はVブレーキ本体の交換時に既に取り外し済みなので、後はレバーを握ればケーブル末端のタイコ部分が露出する。
このタイコさえレバーから外せば、インナーケーブルがアウターケーブルやリードパイプなどと一緒に丸ごと外れるが、
取り外した古いケーブルの内アウターケーブルはすぐに捨てずに、新品のアウターケーブルの長さ合わせのために取っておくと長さを測る手間などが省ける。
また古いインナーケーブルも、新しいアウターケーブル切断時に中に通しておいて一緒にワイヤーカッターで切断するようにすれば、アウターケーブルが潰れるのを最小限に抑えることができてお薦め。
こちらが古いインナーケーブルを通してから一緒に切断した新しいアウターケーブル。長さは古いアウターケーブルと並べて合わせてある(実際には多少の余裕を見て若干長めに切断)。
インナーケーブルを通しながら切断しても、中は空洞のためやはり切断面は多少潰れてしまうので、その後処理としてメンテ本などにもあった通り、
まずは千枚通しを差し込んで、潰れた穴の形をできるだけ真円に戻すようにしてから、
荒れている切断面を平ヤスリでできるだけ綺麗に面取りすることで、インナーケーブルが抵抗なくスムーズに動くようにする。
これアウターケーブルの全切断面に行うのは少し手間だが、この作業を怠ると後々のブレーキの効きが悪くなってくるので、手を抜けない重要な作業。というかそのままだとインナーケーブルがそもそも通らないことも……
またこの作業で千枚通しが結構傷ついてしまうので、千枚通しは専用のものを100円ショップなどで購入しておいた方が吉。台所にあるのを適当に使うとえらく怒られるので(体験談)。
ちなみに切断面の状態次第ではヤスリ掛けするとまた穴の形が崩れてしまうこともあるので、その場合はまた千枚通しを使って穴の形を再度整える必要あり。
これでアウターケーブルの準備は完了したので、次はいよいよインナーケーブルをブレーキレバー及びVブレーキに接続していく。
インナーケーブルはレバーとブレーキ本体に接続して微調整をした後で余分な長さ分をカットするので、ここで長さ合わせをする必要はなし。
インナーケーブルをアウターケーブルに通す作業を行っていく
インナーケーブルの取り付けは、まずはブレーキレバーに末端のタイコを接続するところからになる。
取り付ける前に、タイコにはグリスを薄く塗布しておく。使用するのはデュラグリスでOK。
ブレーキレバーに接続する。取り付け方向は(多分)関係なし。
さて、次はインナーケーブルを長さを合わせて切断面を整えたアウターケーブル通していく作業だが、これが今回のブレーキ交換の一連の作業内で一番迷った部分だったりする。何に迷ったのかと言えば、
アウターケーブル内にグリスあるいはオイルの塗布が必要か否かという点。
これまでにもネットや本、あるいは実店舗での聞き込みなどで色々調べたが、
- オイルあるいはグリスが必要:専用のブレーキケーブル用グリスでないと逆に性能が低下する
- オイルあるいはグリスが必要:塗布し過ぎず適量ならば何でもOK
- オイルあるいはグリスは不要:Shimano のアウターケーブルには最初から内部にグリス封入済のため
- オイルあるいはグリスは不要:塗布しなくても性能に大して変化はないため
……という大別して以上の4つの意見に分かれており、一体どれを採用するのが少なくとも現時点では一番良いのか随分迷うことに。
まずグリス or オイル不要は除外=グリスあるいはオイルを使用する方向で
理由は、やはり何か入れておいた方が精神衛生的にも良いということで(笑)
アウターケーブルに既にグリスが封入されている場合この作業は不要になるが、グリス封入済みのアウターケーブルは MTB用ブレーキケーブルセットのアウターケーブルのみとのこと。
しかも最近のブレーキケーブルセットのアウターケーブルにはグリスは封入されておらず、別途デュラグリス(現プレミアムグリス)の使用が推奨されているとの情報も耳に挟んだため、どのみちグリス or オイルの使用は必要になるっぽい。
実際に購入したアウターケーブル内を確認してもグリスの封入は特に目視できず、また切断面形成時に千枚通しを突っ込んでも特にグリスが付着している様子もなかったので、少なくとも今回購入した切り売りのアウターケーブルにはグリスは封入されていないことは確認できた。
そのためアウターケーブル内には、何らかのグリスあるいはオイルを使用する方向で考えることに。
使用するグリス or オイルは既に所持しているチタンスプレーを使用
グリスあるいはオイルをアウターケーブル内に塗布するとなると、次に出てくる問題はどの種類のグリス or オイルを使用するかということだが、結論から言うと今回は既に所持している RESPO のチタンスプレーを使用することに。
ブレーキケーブルには Shimano のプレミアムグリスが推奨されているとのことらしく、同等品のデュラグリスは現在しっかりと所持しているためこれを使えば特に問題はないはずだが、ネットで色々と調べてみると、どうやらアウターケーブル内の潤滑にはチタンスプレーを使用する例が多いというのが分かった。
Shimano 推奨のプレミアムグリスや他メーカーのオイルではなく、なぜチタンスプレーがよく利用されるのかその理由を推察してみると、
- 粘弾性が非常に強いため保持力が高く、長期間潤滑性能を維持できる
- 成分的にアウターケーブルに使用しても、内部の劣化によるケーブル潤滑の阻害が起こりにくい
- アウター内にノズルを差し込んで噴射してからインナーを通すだけでケーブル全体に塗布可能
あたりが考えられる。特にグリスはアウターケーブル内には封入が面倒で、インナーに塗布するのも結構手間だが、その点チタンスプレーは非常に手軽に塗布できるのが大きな魅力になっているのかもしれない。
一度グリスやオイルを無塗布でブレーキケーブルを使用して比較してみるのも面白かったが、ブレーキケーブル交換の初心者でもあるため今回は素直にチタンスプレーを試してみることに。
これからはまぁ1~2年程度の頻度でブレーキケーブルを交換することにしてその際に色々と試すことができれば、メンテナンスも兼ねることができるので理想ではある。あくまで理想だが(笑)
オイルの塗布方向はインナーケーブルの差し込み方向と一致させる
これも調べていく内に分かったことだが、今回のようにスプレータイプのオイルをアウター内に塗布する時は、インナーケーブルの差し込み方向と一致させる、つまりインナーを差し込む側からオイルのノズルを差し込んで塗布すれば、インナーの進行に合わせてオイルが満遍なく全体に行き渡るので良いらしい。
また今回は一応アウターケーブルの向きも、ケーブル表面に記載がある「SHIMANO M SYSTEMS」の「SHIMANO」側をケーブル差し込み側として全て一致させるようにした。
多分アウターケーブルの向き自体は性能には変化はないだろうが、まぁ取りあえず見栄えの問題と、オーディオ関係やっているクセもあるので(笑)(※)
※ オーディオのスピーカーケーブルは基本的にメーカーロゴがある場合、電気信号はそのロゴの読み方に沿う形で流れるので、ロゴ名称の始まりをプレーヤーやアンプ側(出力側)、終わりをスピーカー側(入力側)にするのが良いという都市伝説慣例がある。
アウターにインナーケーブルを通す前に、先にアウターキャップをインナー差し込み側に取り付けて、ニッパーなどでかしめておく。Vブレーキ側(リードパイプと接続する側)にはキャップは不要なので、方向は間違えないように。
これでアウターケーブルに関する作業は終了。
ブレーキケーブルをブレーキレバーとVブレーキ本体に接続
アウターケーブルの作業が終われば、次はいよいよブレーキケーブルを実際にブレーキレバーとVブレーキ本体に取り付けていく。
作業自体は単純で、既にレバーにタイコ部分を取り付けてあるインナーケーブルにアウターケーブルを通し、アウターキャップ部分をアジャスターナット部分に差し込んでから、ロックナット → アジャスターナットの順にしっかりと締め込んでおく。
この際ロックナットとアジャスターナットの溝の一致するとインナーケーブルが外れて危険なので、アジャスターナットは溝はロックナットの溝と位置がずれる位置で留めておく必要があるため、実際には「全閉近く」まで締めるようにする。
次はVブレーキに固定するためのリードパイプにインナーケーブルを通す。リードパイプ内には既にグリスとインナーチューブが入っているため、インナーケーブルをそのまま差し込むだけでOK。
インナーケーブルをグイグイと通していくと余分なグリスが押し出されて出てくるため、汚れが付着しないように拭き取っておく。汚れを拭き取った後、ゴムブーツも通しておき、
Vブレーキのブレーキアーチにリードパイプを固定し、伸びるインナーケーブルをケーブル固定ボルトに六角ボルトを使用して固定すれば、取りあえずブレーキケーブルとブレーキレバー及びVブレーキ本体との接続は完了。
ケーブルの初期伸びやブレーキシューの位置などの微調整を行って作業終了
最後は各種調整作業。これがひたすらに地道で地味な近道のない作業なので、結構苦痛だった……
まずはブレーキケーブルの初期伸びの調整から。順序としてはメンテ本などにある通りに、
- ブレーキレバーを10回ほど握り、ケーブルの初期伸びを出す
- 初期伸びを出した後、シュークリアランスが左右合計2mmになる場所でケーブルを再固定する
以上の流れで微調整を行っていく。数mm単位での作業のためケーブルを締める際にもずれて誤差が出やすく、何度もやり直す羽目になるが、別段精密機械のような制度は求められていないので、「きちんとブレーキが利く範囲で調整できればOK」程度に考えていた方が精神が疲弊しないでいいかも……
なかなか左右合計2mmのクリアランスが取れない場合、シューのトゥーインを出す容量で1mm程度の厚紙などをシューでリムに押しつけるように挟み込んでケーブル固定ボルトを締め込んでいく方法もある。
ただ今回もこの方法を用いてクリアランスを取ってみたものの、実はこの方法でも左右どちらかが狭すぎる/広すぎる(とは言っても1mm程度の誤差だが……)などが起きてなかなかうまく調整できなかった。
結局幾度ものトライアンドエラーと目視と感覚を信じての作業の果てに、ぴったり左右合計2mmではないもののまぁ一応満足できる範囲での調整に成功。もっと楽な方法はないものだろうか……
残るはシューとリムの位置合わせ及び左右シューの効き具合のセンタリング調整だが、まぁこれは目視で何とかなる程度の作業。
また BR-T780 の説明書には、インナーケーブル接続前にブレーキアーチに接続したゴムブーツとケーブル固定ボルトの寸法が 32mm 以上確保できるようにシューのワッシャー位置を入れ替えて調整するようにとあったが、今回はそれを見逃してしまっていた……取りあえず必要寸法は確保できているようなので、まぁ結果オーライということで……
各種調整が終われば、余分なインナーケーブルを適切な長さ(約3cm程度)でカットして、
末端にインナーエンドキャップを取り付けてしかめて固定することで、全作業は無事完了。乗っている内に出てくる微妙な誤差などについては都度修正していくことに。
ちなみに今回はフロントのインナーケーブルの末端の長さがかなり長くなってしまった(5.5cm程もある)ため、後日新しいインナーエンドキャップを購入してから再度短くカットし直す予定……
基本的にはフロントと同様の手順で、リアブレーキへのブレーキケーブル取り付け作業を行う
初めてのブレーキケーブル交換だったためフロントにえらく時間がかかったが、ここからようやくリアブレーキへのケーブル取り付け作業になる。
作業自体はトップチューブにアウターケーブルを接続したりなどいくらかの手間は増えるものの、基本的な流れはフロントと全く同様なので、今度は少しスピーディーに作業できるかと。
まずはリアブレーキのブレーキアーチに固定されているインナーケーブルの末端をカットし、リードパイプごとリアブレーキから外しておく。
次にトップチューブ下部のアウター受け2ヶ所に固定されているアウターチューブを外し、最後にブレーキレバーからタイコを抜いて古いブレーキケーブルを完全に取り外す。その際に、
トップチューブとインナーケーブルの接触を防ぐために取り付けられていたパーツはそのまま流用する予定なので、取り外してなくさないように保管しておく。
新しい保護パーツやケーブルライナーなんかを使うことも検討したが、まぁ取りあえず今回はこのまま流用ということで……
古いアウターケーブルとインナーケーブルは捨てる前に新しいブレーキケーブルの長さ合わせ及び切断に利用する。ここもフロント側の作業の時と同様。
フロント側と異なるのは、リアに必要なアウターケーブルは「ブレーキ~トップチューブ下部」と、「トップチューブ下部~リードパイプ」のふたつが必要な点。
また「ブレーキ~トップチューブ下部」のアウターケーブルには両端にアウターキャップが必要な点も要注意(ここら辺は車種にもよるかも)。
多少取り回しの距離は長くなるが後の作業はフロント同様に、まずはレバーにタイコを接続、ロックナットとアジャスターナットでアウターケーブルごと固定し、トップチューブ下部の所定位置にアウターケーブルふたつを固定、その後接続したリードパイプ部分をリアブレーキのブレーキアーチに固定し、各種微調整を行った後ケーブルの末端処理。
長丁場になってしまったが、これで今回の新Vブレーキへの換装作業及びブレーキケーブルの交換作業は全て終了となる。ホント……長かった……
多分乗っている内に新たなブレーキケーブルの伸びや片効きなどの問題は発生するだろうから、それはこれからの日常メンテ内で行っていくということで……
今までありがとう&お疲れ様の Avid Single Digit 3
ついに今回でお役御免となった、ずっとお世話になり続けた Avid SD3。
これまでにも挙げてきた通りVブレーキとしての性能面では特に問題なく、また今回の交換についても別段故障などの理由ではないため、このまま廃棄処分にはせず、取りあえずは綺麗にクリーニングした後保管しておこうかと。
シューやリードパイプなどの部材さえ新規購入すればまだ十分に使えるモノだし、万が一の場合また役に立ってくれるかもしれないので……
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