飽和する趣味に溺れる、とある奈良県民の徒然趣味日記。

KUOTA KRYON 用に敢えて選択の SPD ペダル「PD-A600」レビュー

2016年5月15日

 その昔クロスバイクの TREK 7.5FX を購入した際はごく普通のものだがペダルが付属していた。が、ロードバイクの KUOTA KRYON はペダル別売……ということで、選んだペダルがロード用の SPD ペダル「PD-A600」。
 普通ロードバイク用ビンディングペダルと言えば SPD-SL が基本だが、敢えて MTB 用とされる SPD を選んだのには当然理由があったりする。

 納車時に既に取り付けてもらっていたので、初搭乗時から今までの約1ヶ月間使い続けたその使用感を、TREK 7.5FX で使用していた SPD ペダル「PD-A530」との比較を交えてレビューしていこうかと。

ロードに SPD という選択肢も全然アリ!と実感する良コストパフォーマンスのペダル

 PD-A600 は SPD ペダルだが、一応「ロードバイク用」と銘打たれており、グレードはそのアイスグレーカラーから予想できる通り ULTEGRA グレードに属する。
 ロード用 SPD ペダルと言えば他にも PD-A520 や TREK 7.5FX で使用している PD-A530 が存在するが、PD-A600 はROD-用 SPD ペダルの中で最上位グレードとなっている(2016年5月現在)。

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 左から PD-A600、PD-A530、PD-A520。

 最上位の PD-A600 がその他のふたつと比較して何が異なるのかを簡単に挙げてみると、

  • 歴代最軽量(286g)
  • 片面のみ SPD(片面 SPD・片面フラット仕様なのは PD-A530 のみ)
  • クリートの固定が若干固め
  • カラーの選択肢がアイスグレーのみ
  • 唯一の ULTEGRA グレード(他のふたつには所属グレードがそもそもない)
  • 最も高価(定価で1万円越え、実売7,000円台)

 上記のようになる。スペックとしてはお値段含めて最上位モデルに相応しいものとなってはいるものの、下位モデルと比較して少し気になる点がある部分もあったりする。

重量から見ると SPD-SL を含めた全ビンディングペダルの中でも選択肢に入る PD-A600

 ロード用 SPD ペダル 3種の中でも最も高価な PD-A600 を選択する最大にして最高のメリットは「軽い」ということ。他のふたつと比較すると、

 となり、ロード用 SPD ペダル内では圧倒的に軽い。軽量化至上主義の人にとってはこれだけで PD-A600 以外の選択肢が消えるほど。

 ちなみにロード用ビンディングペダルである SPD-SL の各ペダルと比較した場合、

 となり、さすがに Shimano 最高峰である DURA-ACE グレードや 同じ ULTEGRA グレードである PD-A6800 ペダルには及ばない。何と言っても SPD-SL のこの3種は贅沢にもカーボン製だし(笑)

 ただ逆に言えば、アルミ製でありながらカーボン製ペダルに迫る重量を叩き出しているのはもの凄い。SPD-SL のアルミ製のペダルは重量 300g 台なので、200g 台というのはもはや素晴らしいのひと言。
 しかも価格は SPD-SL ペダルは、最も安価な PD-5800 でも実売約1万円、最上位の DURA-ACE ペダル PD-9000 にもなると実売約18,000円前後というお値段に対し、ほぼ変わらぬ重量の PD-A600 は実売約7,000円程度と非常にお財布に優しい価格となっている。

 ロード用 SPD ペダルで重量を最重要視で選ぶというなら PD-A600 以外の選択肢は自然消滅し、さらに「カーボンではなくアルミ製で最軽量」という条件を追加するなら、SPD-SL ペダルを含めても十分選択肢に入ってくる。

片面のみ SPD という仕様は少し扱いづらい?

 PD-A600 は PD-A520 同様片面のみ SPD の金具がセットされている。これはもう片方がフラットになっているわけでなく、もう片方をフラットペダルとして普通のシューズでの使用できるのは PD-A530 のみ。

 ……実はこれが、現在のところ PD-A600 に感じている唯一の不満点。

 というのも、もう片方の面にペダル軸と SPD 金具の構造が剥き出しになっている PD-A600 は 凄まじく傷付きやすい。

 信号などでクリートをリリースして出発時に再度ペダルと接続する際、どうしてもこの面がクリートで傷付きやすい……これは一度クリートを外すとペダルの SPD 金具側は下を向いてしまい、クリートを接続するにはシューズでペダルを回して位置調整をする必要があるというのが大きな原因となっている。

 片面フラット仕様の PD-A530 も同じように一度クリートを外すと SPD 金具が下向くが、PD-A530 は片面フラット使用のため SPD 金具がある面を目視せずとも足裏の感覚のみで判別しやすかったのに対し、PD-A600 は SPD 金具の反対面の形状方それが困難で、結果確認のため何度もペダルをクリート金具で蹴ってしまい傷を付けることになる。

 何とかしてこの部分は次期モデルでは是非改善して欲しい……そうすれば絶対に購入するので。本気で。

PD-A600 のクリートの固定力は PD-A530 に比べて強く固い

 これは好みと慣れの問題でもあるが、少なくともビンディングペダル自体初めてという真・初心者には少しお薦めし辛いぐらいに PD-A600 のクリート固定力は固い。

 これは使用経験のある PD-A530 との比較のみで PD-A520 については不明だが、恐らくロード用 SPD ペダルではこの PD-A600 が最もクリート固定力が高い=固いと思われる。

 ご存じの取り ビンディングはシューズとペダルと固定するため、万が一の場合すぐに外れる仕様でないと立ちゴケでフレームが傷付くどころか、転倒する場所によっては生命の危険がある場合も多い。
 しかし PD-A600 のクリート固定力は、バネ調整を最弱状態にしていてもなお「固い」と感じるぐらいにクリートを外す際に感じた。

 比較対象となる PD-A530 はもう数年間 4,000km 程度は使用しているので、PD-A530 と比較して「外しにくい」という感覚はほぼ間違いないと思う。

 まぁ最初に挙げた通りこれは「慣れ」の問題でもあり、実際今では特に違和感なく使用している。停車時や車道走行時に常に安全に足を付けるよう気を配っておくのはビンディングを使用未使用に関わらず当然だし、いくら外しにくいとは言ってもバネ調整が最弱状態なら「んっ」ともうひと息力を入れる感じで十分外せるレベルなので、足首痛めるほどの力が必要なわけではない。

 ……とは言うものの交差点での出会い頭事故などの緊急時ではそうした「一瞬」が命取りになってしまうことが多々あるので、やはりビンディング初心者には PD-A600 ではなく、容易にクリートの着脱が可能な PD-A530 などの下位モデルの方をお薦めしたい。

 剛性よりも、加速性能よりも、まずは命が最優先。

PD-A600 のカラーは ULTEGRA グレード共通のアイスグレーのみ

 ULTEGRA グレードの象徴とも言うべき艶やかなアイスグレー色が何より好みという人には問題ないが、選択肢がアイスグレーという特殊な色合いの PD-A600 は、フレームカラーとの相性を考えると少し選びづらくなっている。

 もちろんカラーはロードバイクの性能に何ら影響はないが、精神的な影響は絶大なので(笑)

 各モデルのカラーの選択肢を挙げると、

  • PD-A600:アイスグレー(カタログ表記上はグレー)
  • PD-A530:シルバー/ブラック
  • PD-A520:シルバー

 上記のようになっており、PD-A530 はシルバーとブラックの選択肢があり、PD-A520 については標準的なシルバー色のみの用意となっている。

 ちなみに自分の場合はそのうち ULTEGRA の電動コンポ入れる気満々なので別にペダルがアイスグレーでも何ら気にならないが、そうでない人なら凄い気になるかも。

 ただ、既に紹介している通り、PD-A600 はその構造上クリート金具で傷付きやすい。つまり、

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 塗装があっという間に剥げて下地のシルバーが剥き出しになる という悲しき宿命を背負っているのをお忘れ無く(笑)

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 左ペダルは裏表共にこんな感じ。右(利き)足側のペダルは一時停車時に外すことはあまりないので、左ペダルほど傷付いてはいないが……それにしても使用1ヶ月でこれは酷い(笑)

 ちなみに片面 SPD 片面フラットの PD-A530 は数年使い込んでおり、転倒による傷やら何やら付きまくってはいるものの、

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 シルバー色のためほとんど傷は目立たない。

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 フラット面も同様で、確かにクリート金具による傷は無数にあるがパッと見だけでは気にならないレベルに落ち着いている。
 PD-A530 のブラックカラーならまた事情も違ってきただろうが、少なくとも傷による見栄えの劣化を気にするなら、シルバー色のペダルが最もお薦めとなる。

 傷は気にならない、あるいは絶対に傷つけずに使用し続けることができるという自信がある人でないと、PD-A600 はちょっとキツいかもしれない(笑)

ロードバイクに SPD-SL ではなく敢えて SPD を選択する理由とメリット

 SPD-SL は SPD と比較してクリートとペダルの接地面積が大きいため力が入れやすい、つまりペダルを強く踏み込んでそれを推進力として伝えやすいため、速度が正義のロードバイクのスタンダードとなっている。

 そんな中、敢えて SPD ペダルを選択する理由。それは唯ひとつ 歩きやすさ重視 という点に尽きる。

 SPD-SL のクリートが付いたシューズはとてつもなく歩きにくい。なぜなら SPD-SL は徒歩を想定しておらず、ただひたすらにペダルに踏力を伝えることのみに特化しているので。

 対して SPD はオフロード上等の MTB 用とされるだけあり、シューズも「徒歩」というシチュエーションを想定した構造となっているものが多い。要は「歩きやすい」ということ。

 ここら辺は個々人のロードに対する姿勢に左右されるが、正直ガチレースを想定するプロやひたすらにストイックにロードバイクに打ち込む修行僧レベルの人でもない限り、「一度ロードで出発すれば帰宅するまで基本降りない」ということはまずないと思う。
 途中で店にも立ち寄れば、どこかで立ち止まって写真撮影するかもしれない。または綺麗な風景を見ながら少し歩きたいなんてこともあるかもしれない。そんな時、SPD-SL シューズでもできないことはないが、SPD シューズならばそうした状況でも十分に対応してくれる歩きやすさを備えている。

 また自分の場合は TREK 7.5FX で既に SPD ペダルとシューズを購入していたので、それらの資産を活かしたいというのも大きな理由のひとつになっている。

 SPD と SPD-SL で一体どれだけの踏力伝達力の差があるかはここでは細かく追求しないが、SPD ペダルと言えどもロードモデルを謳っている PD-A600 などはシューズとの接地面のデザインもきちんと考えられているし、本格的なレース志向でもない限りは SPD ペダルで十分事足りると感じている。

 ……何て言いながらそのうち SPD-SL が欲しくなるかもしれないが、まぁその時はその時で(笑)

ロードバイク用 SPD ペダル PD-A600 総評

 ロードバイク用のペダルとして PD-A600 をお薦めしたいのは、以下のような人になる。

  • カーボン製ではなくアルミ製で最軽量ペダルを求めている
  • ロードバイクで走る目的が「走ること」以外にもある
  • SPD-SL はガチ過ぎて嫌。でもロード用のビンディングが欲しい
  • 既に SPD のシューズなどを持っており、それらを活かしたい
  • 使用による劣化でペダルに非常に目立つ傷がつきまくっても気にしない

 逆に PD-A600 以外の選択肢をお薦めしたいのは、

  • ビンディングを使用するのは初めて
  • たまに普通のシューズでもロードに乗りたい
  • 剛性よりも重量よりも安価なことが最も重要
  • アイスグレー色はフレーム色に合わないし、傷による劣化目立ちも気になる

 という人には、下位モデルの PD-A530 や PD-A520 はお薦めとなる。下位モデルとは言っても十分な性能は有しているペダルとなので、それこそ初心者にとっては何の問題もない選択となる。

 ただ、既に説明した通り、本当にビンディング初心者ならば PD-A600 はクリート固定力の関係上避けておいた方が無難かと。
 どうしても PD-A600 を使いたいならば、まずは安全な場所でしっかりと練習を繰り返してから公道を走るように。車道で立ちゴケしたら洒落にならないので……

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コメント

  • PD-A600ペダル参考になりました。ほかのペダルとの比較もありがとうございます。
    傷つきやすいようですねー。
    自分の場合は、ビンディングシューズ使用しないので、530でも十分かなと思いました。
    良いですねー。こういう比較の記事は。。。
    こちらも購入の参考になりますです。ハイ!
    これからも安全に気をつけてロードバイクライフを送って下さい。
    また次の(ロードバイク)記事をお願いしますね!

    2016年5月27日 06:23 | キテレツくん

    • KUOTA KRYON の記事に続いてコメントありがとうございます!

      ホントに傷付きやすいです……PD-A600。でも使い心地はなかなか快適です。重量さえ気にしなければ片面フラットの PD-A530 の方が普段使いのストレスは小さいと思いますので、良い選択だと思います。PD-A530 ならビンディングに興味が出てもシューズ購入だけですぐに対応できますしね。

      これからも色々とロードライフに関する記事を紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いします!

      2016年5月29日 20:16 | 伊織

  • こちらの方もお返事を頂きましてありがとうございます^^
    非常に細かく、ご丁寧にご説明されていましたのでこれから購入する身としましては非常にためになり、わかりやすかったです。
    そうですねー^^530ですと、将来ビンディング購入した時も対応出来ますしね。
    アドバイスありがとうございます。
    最高のロードバイク手にされたので、可愛がって大切になさってください。
    私も近いうちにKRYON購入したいと思っております。
    素晴らしいロードバイク記事だと思います。(他の記事も読ませて頂きました^^)
    またの更新記事も宜しくお願い致します。
    楽しみにしています。
    それでは失礼致します^^

    2016年5月29日 21:34 | キテレツくん

    • コメントありがとうございます。
      同じ KUOTA KRYON 乗りになられる方が記事を読んでくださっていると分かると、これまで以上に更新への気合いが入ります(笑) これからも色々と KRYON に関する走行、カスタマイズなどの記事を挙げていきたいと思います。

      ……取りあえず今考えているのは、取りあえずひと通り当初想定していた装備類のインストールを終えてからの KUOTA KRYON の現状レビューなので、また閲覧よろしくお願いします!

      2016年5月30日 23:10 | 伊織

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